石綿含有仕上塗剤の除去について

石綿含有塗膜除去工法が法制化されました

環境省、環水大発第1705301号 平成29年5月30日
厚生労働省、基安化発第05301号 平成29年5月31日
によって、建築物の改修・解体時における石綿外壁塗材の除去が必要となりました。
また、「建築物の改修、解体時における石綿含有建築用仕上げ塗材からの石綿粉じん飛散防止処理施術指針」が示され「適切な処置が求められ」、作業の方法・工法が明確になりました。

事前調査

(1)改修工事または解体工事を行うときは、あらかじめ当該建築物に使用されている仕上塗材の石綿の有無を、設計図書または分析により調査しなければならない。

(2)事前調査の方法は次のⅠ~IVによる
Ⅰ 石綿に関し一定の知見を有し、的確な目視による調査、判断ができるものが行うこと
II 仕上塗材の使用箇所、種類等を網羅的に把握できるように行うこと
III 設計図書等による調査
IV 分析による事前調査

(3)事業者は、事前調査の結果を記録しておかなければならない。

事前調査のフロー

事前調査のフロー

報告

・事前調査の結果は関係法令に基づいて工事現場に掲示すると共に保存する
・事前調査の結果、最適な施工計画を立案する

施工計画

施工計画の作成にあたっては、次の事項を含むものとする。
(1)処理工法(補助工法含む)
(2)粉じん飛散防止装置(隔離作業場設置の有無など)
(3)粉じんばく露防止措置 (呼吸用保護具、保護衣等の選定)
(4)排水処理 (石綿を含む水を排水する工法のみ、集水措置を含む
(5)廃棄物処理
(6)その他

仕上げ塗材の処理工法

(1)技術指針では石綿含有建築用仕上塗材を除去する工事をそれぞれ分類している。
Ⅰ:「吹き付けられた石綿」として隔離措置を講じて除去する工事
II:石綿則第6条のただし書きにより、粉塵飛散防止に関し隔離措置と同等の措置と判断できる工法による除去工事
III:改修工事での工事で、石綿を含有しない上塗りに洗浄などの工事

(2)「Ⅰ」の隔離措置を講じて除去する場合には、本マニュアルに示す方法に準拠して行うことが必要となる。ただし、仕上塗材は外壁仕上げとして使用されることが多いため、外部での隔離措置となり、風の影響等に十分に配慮する必要がある。

(3)建築用仕上塗材の改修工事や除去工事では、仕上塗材の種類、仕上塗材層の劣化程度、仕上塗材層の処理の程度、仕上塗材層の除去効率、粉塵の発生程度、作業場の隔離養生の要否、排水処理の要否、施工費などの諸条件を考慮して、下記1~15の処理工法中から適切なものが選定される。
これらの処理工法の中で「II」の石綿則第6条ただし書きにより粉じん飛散防止に関し隔離措置と同等の措置と判断できる工法は、太字を施した3,5,7,9,10,11,12,13,15である。また、隔離措置と同等の措置と判断できる新しい処理工法が今後開発される可能性もある。

1 水洗い工法
2 手工具ケレン工法
3 集じん装置併用手工具ケレン工法
4 高圧推薦工法 (15MPa 以下、30~50MPa 程度)
5 集じん装置付き高圧水洗工法  (15MPa 以下、30~50MPa 程度
6 超高圧水洗工法(100MPa 以上)
7  集じん装置付き超高圧水洗工法  (100MPa 以上)
8 超音波ケレン工法
9 超音波ケレン工法(HEPA フィルター付き掃除機併用)
10 剥離剤併用手工具ケレン工法
11 剥離剤併用高圧水洗工法 (30~50MPa 程度)
12 剥離剤併用超高圧水洗工法 (100MPa 以上)
13 剥離剤併用超音波ケレン工法

14 ディスクグラインダーケレン工法
15 集じん装置付きディスクグラインダーケレン工法

施工結果をすべて保存

施工結果を全て長期間保存しておく義務があります。

まとめ

改修・解体工事を行う前に石綿含有外壁塗材の除去が義務付けられたことにより施工前の準備が大幅に変化しました。
石綿含有の有無、工法の検討、関係官庁への届出や現場の事前検査、見積もり、適切な施工、近隣住民への説明や対応、環境調査、事後の書類保管など、なんなりとお任せください。
まずは事前調査をしてみませんか。